2017年11月12日

持つべきもの

高橋空雅(くうが)34歳会社員と、デーブ・ロックウェル28歳英語教師。二人はインターネットで出会い、東京郊外の一部屋でルームメイトになった。

高橋は企業に勤めながらヒップホップドリームを果敢に追い続けている。一方のロックウェルは憧れの日本のアニメ文化(主に少女漫画)を身近に感じるために日本に来た。生い立ちも目指すものも全く異なるが、思いのほか仲良く暮らしているらしい。二人とも性格は温厚、協調的で常識人。お金や家事の役割分担もきちんとしており、生活上の行き違いがあっても話し合って解決するようにしている。二人とも空気を読む能力が高く、お互いの聖域に干渉しないようにしている。色んな意味で時代が可能にしたコラボレーションである。

アメリカ中部出身のロックウェルはヒップホップに関して明るくないし、高橋も漫画やアニメに興味がない。そのため、高橋のヒップホップも、ロックウェルのアニメの解釈もそれぞれ独創的。高橋にとってのロックウェル、ロックウェルにとっての高橋は、それぞれ愛する文化に近そうで遠い「おしい」立ち位置にあるのだった。
posted by ヒケ at 09:32| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年10月06日

それでも俺はやってしまった

遠山春斗、男43才。無職バツイチ文無し予定。城東警察署の留置所より。

みっともない話なんだが、オレオレ詐欺の容疑で捕まった。若い女性を妊娠させてしまい、長年疎遠になっていた母親をあてにしたのがいけなかった。80才の母はすっかりボケてしまっているが、毎日乗るバスの車内放送で流れる詐欺防止のアナウンスだけは頭に叩き込まれていたようだ。実の息子を警察に通報してしまった事態も把握できていないだろう。

かあちゃん俺だよ俺。何の変哲も無いセリフが詐欺の代名詞となってしまった。
posted by ヒケ at 18:06| 東京 ☀| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年09月24日

この田中実

世の中に「田中実」が2,620人いるらしいが、とりわけこの田中実がすごい。どの田中実かって、そりゃあ1984年3月21日生まれ埼玉県上尾市在住、男性会社員独身天然パーマの方の田中実に決まっている。

どうすごいかというと、とても一言では語りきれないが、ひとつ特徴を挙げるとしたら、とても誠実でやさしいところだ。競い合うことを嫌い、そのため平均以上の業績を出さないし、同僚が大きな手柄をあげても妬むことなく自分のことのように喜ぶような男だ。来年課長に昇進するらしい。

趣味は映画鑑賞と旅行で、最近のお気に入りの映画は「ララランド」、良かった旅行先は「台湾」だったそうだ。ゴールデンウィークとシルバーウィークに合わせて毎年予定を入れるらしい。

君の相手としてどうだろう。いつでも紹介してやってもいい。

顔?

顔は普通だ。
posted by ヒケ at 09:43| 東京 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年08月19日

砂漠の村へ

広大な砂漠を一直線に突き抜ける道路を歩いていた。前方の風景は、幼稚園児が絵に描いたような青い空と薄茶色の地上。地平線に向かって点に萎んでいく灰色の筋。背後を確認すると、そっくり同じ絵になっていた。万が一、方向感覚が狂うことを想像するだけでゾッとした。歩く時も、道端で休憩するときも、「こっち」の地平線から視線をそらさないよう、いちいち注意していた。

歩き続けて三日間。この先に集落があることは確かな情報のはず。教えてくれた人が私に恨みを抱く理由も思いつかないし、概ねまともな人間に思えたからだ。

あまりに辺鄙で、あまりにもおかしな環境だ。開拓者が意図して選んだ場所というより、きっと疲れ果てて動けなくなった地点が村になったのだろう。どのように生き延びてきたのか、じっくり聞いて見たいものだ。

あと二、三日で着くだろうか。
posted by ヒケ at 14:08| 東京 🌁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年07月31日

家庭内国境

父親がアメリカ人になった。

かれこれ17年前に私は日本に帰国したが、両親兄弟は皆アメリカに住み続けている。私にとって帰国することがごく自然な流れであったように、私以外の家族にとってアメリカに根をはることがごく当たり前なことだった。同じ血筋で、概ね同じ生活を共有してきた間柄にも関わらず、これほどくっきり選ぶ道が分かれたことは今でも不思議に思う。

私の家族はよくも悪くも薄情者のあつまりだ。冠婚葬祭のときは集まるが、用がなければコミュニケーションはまばらだ。決して仲は悪くない。むしろ、成人してからは親兄弟をよりよく想い合うようになった気がするし、合える機会があればその限られた時間を大切にしようと心がけている。

こないだ末っ子の妹が結婚した。縁起でもないが、兄弟のいずれかが離婚でもしない限り結婚を理由に集まることはもうない。
posted by ヒケ at 01:37| 東京 ☁| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする